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国際交流事業

『古代遺物及び美術品の保存』

当連盟と海外の美術館・博物館等との交流は,設立まもない頃から現在まで、様々な形で実施されています。

その一つの契機は、昭和42(1967)年に行われた、イギリスの考古学・保存科学者H.J.プレンダリース(1898−1997)による著作『古代遺物及び美術品の保存』〔Harold James Plenderleith "The Conservation of Antiquities and Works of Art -Treatment, Repair, and Restoration-(1956)〕の翻訳刊行事業でした。

東洋美術保存修復専門家研修
昭和42(1967)年

また、同じく昭和42年、欧米の博物館関係者を対象とした「東洋美術保存修復専門家研修」(ユネスコ,国際博物館会議〔ICOM〕共催)が我が国において開催され、加盟工房における実習を通じ、欧米各国に所在する東洋文化財の修理に対する技術支援の必要性が痛感されるところとなりました。

海外の技術者の受け入れ・研修や我が国からの海外への派遣に関しては、長らく加盟各工房により個別に実施され、ボストン美術館・メトロポリタン美術館・フリーア美術館等への修理技術者の推薦、対外研修や指導出向、装潢修理技術習得のための海外研修生受入れなどが行われてきました。

1990年代に入り,故平山郁夫先生による「文化財赤十字構想」により、平成2年に文化庁・東京国立文化財研究所(当時)・芸術研究振興財団(当時)共同による「在外日本古美術品保存修復協力事業」,同4年には東京国立文化財研究所,ICCROM(文化財保存修復研究国際センター)による「日本の紙の保存修復国際研修」が相次いで始まり、当連盟が協力することとなりました。これらを通じ、海外の関係各団体との人的交流がこれまで以上に盛んになり、公的な交流として、より拡がりをもつものとなるに至りました。

平成7年には、初の国際シンポジウム「日本美術品の保存修復と装潢技術」を当連盟の主催により奈良県新公会堂にて開催し、装潢修理技術を内外の専門家、一般市民に広く発信しました。また、平成16年に開催した国際シンポジウム「東洋文化財修復技術の現状と未来」(第10回定期研修会)を契機として、欧米だけではなく、韓国や中国など東アジアの文化財修理の専門家との交流も盛んになってきています。

これらを土台として、現在当連盟では内外の各関係機関のご協力を得つつ、主に下記のような国際交流事業を実施しています。

大英博物館平山スタジオにおける日本絵画修理共同事業

大英博物館での共同事業

平成18年度より、住友財団の助成により、大英博物館平山スタジオにおいて日本絵画修理共同事業を実施しています。当連盟から要点工程について登録技術者を派遣し,現地の修理技術者と共同して収蔵品の修理を行っています。

経験の豊かな技師長や主任技師を派遣することで、難易度の高い修理に対する的確な修理方針の策定を行い、我が国で行われている修理に劣らない良質な修理を実施する一方、若手技術者を同時に派遣することにより、海外の博物館の修復施設での貴重な作業経験を得ることも目指しています。

また、共同作業やワークショップの開催などを通じ、修理技術の支援及び普及向上,国際交流を深める一助となっています。

在外日本古美術品保存修復協力事業

平成3年度から本格的に事業が開始され、これまでに数多くの在外文化財が加盟各工房の施工により修理されました。平成20年度からは、我が国の工房に輸送しての修理のみならず、所蔵館(海外)での現地修理や、現地の美術館・博物館保存担当者を交えた日本絵画修理のワークショップなどが開始され、新たな展開をむかえています。

東アジア紙文化財保存研究センター

伝統的製紙技術の3ヶ国共同調査
(中国・浙江省)

平成16年に当連盟の主催により開催した国際シンポジウム「東洋文化財修復技術の現状と未来」を契機として、「漢字と紙の文化圏」における文化財関係者の交流の機運が高まり、平成18年から3ヶ年にわたり、北京、太宰府、ソウルにて「東アジア紙文化財保存修理シンポジウム」を開催しました。

これらをさらに発展させる形で、引き続きシンポジウムを定期的に開催するとともに、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)のプロジェクトとして、日本・中国・韓国の3ヶ国合同による伝統的製紙技術現地調査・紙文化財修理に関する専門家会議を平成20年度より5ヶ年計画で実施することになり,その日本側窓口を当連盟が受け持つことになりました。

このことを受け,平成20年度から5ヶ年間、当連盟に「東アジア紙文化財保存研究センター」を設置し、九州国立博物館及び高知県立紙産業技術センターと協力して必要な事務を実施するとともに、この間、「東アジア紙文化財保存修理シンポジウム」を2回(蘭州・太宰府)、伝統的製紙技術の共同現地調査を6回(中国4回、韓国1回、日本1回)にわたり実施しました。

 

なお、当連盟は平成7年10月、国際交流基金より奨励賞を受賞しました。この賞は、諸外国との文化交流及び国際相互理解に顕著な功績を挙げた内外の個人、機関に対してその業績を顕彰されるものです。当連盟では今後とも、東洋文化財の保存修理を通じた国際交流・貢献をさらに進めてまいります。

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